輸出代金の国内留保義務、9月1日から一部鉱業輸出企業で緩和 — ただし米・中・香港・豪・加の株主がいる場合に限る

金融・為替PP 21/2026 Pasal 18A更新更新: 2026年9月16日

インドネシアは、天然資源の輸出代金(DHE SDA)を国内に留保することを輸出企業に義務付けています。石油・ガス以外では、輸出代金の100%を12か月間、国有外為銀行に留保する必要があり、運転資金を相当程度拘束される規制です。2026年9月1日から、PP 21/2026(PP 36/2023の第2次改正)第18A条により、この義務が限られた対象について緩和されました。対象となる鉱業輸出企業は、最低30%を最低3か月間の留保で足り、国有銀行だけでなく民間銀行・外資系銀行も利用できます。問題は適格要件です。鉱業を営むPT(株式会社)であることに加え、**米国・中国・香港・オーストラリア・カナダのいずれかの株主が10%以上を保有している**ことが条件となります。日本はこのリストに入っていません。したがって、日本企業が出資する鉱業輸出企業は、出資比率の大小にかかわらず100%・12か月ルールの適用が続きます。政府は537社を精査し、64社が対象になると特定しました。

要点

  • 変更のない原則ルール:石油・ガス以外の天然資源輸出企業は、輸出代金(DHE SDA)の100%を12か月間、国有外為銀行に留保する必要があります。石油・ガス部門は最低30%を最低3か月間です。
  • 第18A条による緩和(2026年9月1日以降に発行された輸出申告書=PEBに適用):留保は最低30%・最低3か月で足り、資金の預け先も国有銀行に限らず指定された民間・外資系銀行が利用可能、両替も民間銀行で行えます。
  • 適格要件は3つすべてを満たすこと:(1) 鉱業を営むPTであること、(2) 株主に米国・中国・香港・オーストラリア・カナダのいずれかの出身者が含まれること、(3) その株主の持分が10%以上であること。この5か国は、インドネシアの鉱業への投資額が大きい順に選定されています。
  • 日本は適格株主5か国に含まれていません。したがって、日本資本が入る鉱業輸出企業も、引き続き100%・12か月の義務が全面的に適用されます。なお非対称な点として、口座の預け先として承認された銀行リストにはMUFG・SMBC Indonesiaといった日系銀行が入っていますが、これは株主の国籍要件とは別のリストです。
  • 第18A条口座の預け先として15行が指定されています。国有5行(Mandiri、BRI、BNI、BTN、Bank Syariah Indonesia)と、民間・外資系10行(Standard Chartered、Deutsche Bank、MUFG、JP Morgan Chase、Citibank、Bank of China、ICBC Indonesia、China Construction Bank Indonesia、SMBC Indonesia、HSBC Indonesia)です。
  • 緩和の適用範囲:政府が2025年3月〜2026年7月の輸出データを納税者番号537件分について精査した結果、第18A条の要件を満たす輸出企業は約64社(全体の約12%)と特定されました。
  • 所管は経済担当調整大臣府(Kemenko Perekonomian)で、財務省およびインドネシア銀行(BI)と連携して運用されます。

貴社への実務上の影響

「金融・為替」カテゴリの多くの記事と異なり、本件はマクロの解説ではなく拘束力のある義務です。天然資源の輸出を行う法人にとって、この留保義務は「自社の輸出収入をいつ・どれだけ実際に使えるか」を左右します。確認すべきは3点です。(1)自社がどの区分に該当するかを確定する:石油・ガス(30%・3か月)、一般の天然資源(100%・12か月)、または第18A条の対象となる鉱業(30%・3か月)。輸出企業の多くは鉱業ではなく、その場合この緩和は適用されません。(2)鉱業輸出企業の場合、緩和を前提にする前に、株主名簿を5か国リストと10%要件に照らして確認してください。これは規模や業種ではなく株主の国籍による判定であり、現状では日本・韓国・シンガポール・欧州の出資は該当しません。(3)資金繰り計画への影響を率直に織り込んでください。「100%を12か月」と「30%を3か月」では運転資金のポジションが大きく異なり、グループ内資金計画や財務制限条項の余裕度にも影響します。なお、外貨建て口座に置かれた代金の月末換算処理自体は変わりません。変わるのは資金移動の制約です。

出典

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