2026年10月31日のMK期限迫る、DPRが労働法の単独立法化を急ぐ
2024年のインドネシア憲法裁判所(MK)判決により、現在2023年制定のオムニバス法(雇用創出法)に組み込まれている労務条項を、2026年10月31日までに単独の労働法として分離立法することが義務付けられています。期限までに成立しなければ、オムニバス法以前の2003年労働法が復活適用されます。法案は当初の19章224条の草案から20章264条へと拡大しており、9月14日には政府がDIM(統一見解書)をDPRに正式提出、法案は第一段階審議に入り、専任の作業部会(Panja)も設置されました——一方で労働組合は、特にアウトソーシング規定を中心に、個別条項への異議を唱え続けています。
要点
- 2024年10月31日に言い渡された憲法裁判所判決168/PUU-XXI/2023は、2023年雇用創出法(UU Cipta Kerja)内の労務条項を、2年以内に単独の労働法として分離することを命じた。
- 憲法裁判所は2026年6月、雇用創出法への追加の違憲審査請求を棄却した際、改めて2026年10月31日の期限を確認している。
- DPRと政府が期限までに新法を成立させられない場合、現行の労務条項に代わり、オムニバス法以前の労働法(2003年法律第13号)が自動的に適用される。
- 国会第9委員会(労働問題担当)が法案を起草中。2026年8月13日時点で、国会専門調査局が作成した草案は19章224条に及ぶ。
- 草案の対象分野は、解雇防止、賃金、有期雇用契約(PKWT)、アウトソーシング、職業訓練・実習、職業紹介、非雇用関係労働者、外国人労働者規定など。
- 国会指導部は2026年10月上旬までに学術文書・法案テキストの完成を目指しており、確定前に労働組合との協議を拡大する方針。
- 2026年8月4日の作業部会(Panja)決定により法案は最終調整段階に移行。第9委員会指導部は8月13日付で起草チーム(Timus)・整合化チーム(Timsin)の設置に関する正式文書を発出し、各会派に対し8月14日までにチームメンバーの氏名提出を求めた。
- これとは別に、インドネシア経営者協会(Apindo)と労働組合連合(KBPBI)は合同起草チームの設置に合意し、8月末までに両者統一案をまとめる方針。
- 更新:2026年8月24日時点で、ApindoとKBPBIは合同案の内容について約70%で合意に達したと発表。退職金積立に関する規定など投資・産業関連の一部条項は依然協議中で、DPRへの共同提出に向け調整を続けている。
- 更新:Apindo・KBPBIの合同起草チームは、ベトナム・タイ・フィリピン・マレーシアの労働法制について比較調査も実施。第9委員会とのヒアリングでは、両者とも労務クラスターに関連する憲法裁判所判決12件すべてを新法案に反映させる必要があると表明した。
- 更新:2026年8月27日、2026〜2027年度会期第3回本会議において、法制局(Baleg)による調整(ハーモナイゼーション)作業の完了を受け、法案(現在は「労働保護法案(RUU Pelindungan Ketenagakerjaan)」と呼称)が正式にDPR発議案(usul inisiatif DPR)として承認された。これにより法案は、委員会レベルの草案から、DPRと政府による共同審議という次の正式な立法段階へ移行した。
- 更新:2026年9月6日、ヤシエルリ労働大臣は2026年10月末までの完了目標を改めて表明し(「実現できることを願っている」)、本法案が全国の労働者約1億5,500万人を対象とすること、特にそのうち60%を占める非公式部門(インフォーマルセクター)の労働者に対し、より明確な社会保障の保証が必要である点を強調した。DPRとの共同審議が進む中、政府は引き続き経営者・労働者双方からの意見を受け付ける姿勢だとも述べた。
- 更新:2026年9月2日、Apindoと合同起草を進めているKBPBIが大臣と面会し、政府・DPR側の草案を「非常に失望した」と評した——KBPBI議長アンディ・ガニ・ネナ・ウェア氏は「我々の提案の多くが十分に反映されていない」と述べ、特にアウトソーシング制度の適用範囲拡大を問題視したほか、賃金、退職金、外国人労働者規定、有期雇用契約(PKWT)、職業訓練・実習制度についても懸念を示した。ヤシエルリ大臣の対応は「意見を受け止め、DPRに伝える」という宥和的なものにとどまり、具体的な修正の約束はなかった。上記のApindo・KBPBI間の「70%合意」はあくまで両者の合同案についてのものであり、労組側が不満を示している政府・DPR案そのものとは必ずしも同一の文書ではない点にご注意いただきたい。
- 今後の予定:KSPSI(インドネシア労働組合総連合)本部は、2026年9月10日(木)09:00 WIBに全国一斉の「apel siaga(警戒集会)」を実施するよう指示した。DPRと政府に対し、法案策定プロセスを開かれた形で労働者の意見を反映させ続けるよう求めるもの(指示文書No. 190/DPP/KSPSI/IX/2026、9月7日付、代表理事マヒアス・アンビン氏および事務局長アリフ・ミナルディ氏署名)。これはジャカルタ限定ではなく全国規模で、各地方のDPRD庁舎・地方自治体庁舎、または各地の連合が合意した場所での実施が指示されており、オフィスの安全面への影響は地域によって異なる。ジャカルタの国会(DPR RI)本館前での行進が行われるかは、この時点では確認されていない。
- 更新:9月10日の行動(KSPSIも加盟するより大きな連合体KBPBIの下で組織)は、全国約30地域で平穏に実施された。ジャカルタでは労働者代表25名がDPRD DKI議長に面会するなど、詳細は安全情報を扱う別記事をご覧いただきたい。
- 更新:9月2日時点で、ヤシエルリ労働大臣はDPRから最新の草案を受け取ったと発言。次の手続き上のステップは、プラボウォ・スビアント大統領がDPRに対し、共同審議段階における政府側のカウンターパートを指名する正式書簡(Surat Presiden/大統領書簡)を送付することであり、これはインドネシアの立法手続きにおける標準的なステップだが、本稿執筆時点で完了は報じられていない。これとは別に、上記のKBPBIによる「非常に失望した」との反応とは食い違うようにも見える情報として、8月のDPR第9委員会・Apindo・労働者代表による作業部会に関する報道では、労働側の提案の約80%が既に草案に反映されているとされていた——この会合の正確な日付は特定できず、KBPBIの後の反応と完全に整合させることもできなかったため、この2つの情報は、当社が独自に矛盾を解消しようとするのではなく、異なる時点あるいは異なる範囲の「草案」について述べたものである可能性がある、という形でお伝えする。
- 更新:9月14日、ヤシエルリ労働大臣が政府としてのDIM(Daftar Inventarisasi Masalah、労組・経営者側の意見も取り込んだ政府統一見解書)を、スナヤンの国会議事堂で第9委員会委員長フェリー・エステリタ・ルントゥウェネ氏に正式提出した。これにより法案は「Pembicaraan Tingkat I(第一段階審議)」——DPRと政府による正式な共同審議段階——に入り、第9委員会は同日、詳細審議を担う作業部会(Panja)の設置を全会一致で決定、委員長には第9委員会副委員長のプティ・サリ氏が就任した。法案自体も8月13日時点の草案(19章224条)から拡大し、現在は20章264条とされており、国家立法プログラム(Prolegnas)2025〜2029のもと、2026年10月の完了目標は維持されている。プティ・サリ氏は、Panjaの役割について、労働者保護の要求と、事業の柔軟性・投資の予見可能性を求める経営側のニーズとの間で「民主的な妥協点」を見出すことだとしている。
- 草案の中身と、その確度について。DPRの草案は既に一般に公開・流通しており、条文の内容も詳細に報じられています。したがって本件はもはや手続きだけの話ではありません。ただし以下はすべて、第一段階審議で交渉中の「草案」であり確定した法律ではない点にご留意ください——条文数は7月初旬の19章224条から9月には20章264条へと既に動いており、労働大臣も9月14日、特にアウトソーシングについては「まだ長い。関係者の意見を聞くプロセスが残っている」と述べています。
- 草案の内容 — PKWT(有期雇用契約):一般的な雇用主にとって最も影響が大きい変更点です。当初契約は最長2年、延長は最大1年×2回まで(現行の上限5年に対して短縮)。契約終了時の補償は引き続き必要で、金額は勤続期間に応じて調整されます。またPKWTに試用期間を設けることは認められず、定めた場合は無効となったうえ、その期間も勤続年数に算入されます。
- 草案の内容 — Jaminan Pesangon(退職金保証):JKN・JKK・JKM・JHT・JP・JKPに加わる新たな社会保障プログラムで、雇用主は労働者を加入させ保険料を拠出する義務を負います。同プログラムの給付が法定の退職金額に満たない場合、差額は雇用主負担となります。つまり既存債務の上限を画すものではなく、追加の拠出負担です。
- 草案の内容 — デジタルプラットフォーム労働者に独立した章:社会保障、労働安全衛生に加え、一方的なパートナーシップ解除や、労働者に不利益なアルゴリズム変更からの保護が盛り込まれています。またインフォーマルセクターの労働者についても、労災(JKK)・死亡(JKM)保障の対象化が別途規定されています。
- 草案の内容 — 賃金と労働時間:最低賃金・分野別最低賃金・賃金テーブルを経済状況に連動した算定式で設定し、所定労働時間は週40時間、それを超える分は時間外とする構成です。
- 原文の入手について:DPRの草案は労組・経営者団体・学識者の意見を取り入れて作成され、既に一般に公開・流通しており、章立てと主要条項も広く報じられています。ただしdpr.go.id上で公式にダウンロードできる条文は確認できませんでした。確定的な文言、および全文が公表されていない政府側DIMについては、DPR第9委員会または所管省庁に直接あたるのが実務的な入手経路です。
貴社への実務上の影響
御社が現在、雇用創出法(オムニバス法)下のアウトソーシング・有期雇用契約(PKWT)・解雇ルールに依拠している場合、これらは時間的制約の中で書き換えられようとしています(アウトソーシングについては既にPermenaker 7/2026〈2026年4月30日施行〉で別途規制強化済み)。2026年10月を一つの節目としてご注視ください。法案が成立すれば、新法の内容に合わせて人事規程・雇用契約書ひな形・アウトソーシング委託契約の見直しが必要になる可能性があります。逆にDPRが期限を守れなければ、2003年労働法が復活適用されますが、これは現行のオムニバス法規定よりアウトソーシングや有期雇用契約に厳格です。いずれの結果になってもコンプライアンスの前提が変わるため、年内は現行ルールが続くと決めつけず、月次で動向を追う価値があります。
出典
- Mahkamah Konstitusi RI — Tolak Uji UU Cipta Kerja, MK Ingatkan Batas Waktu Dua Tahun Pemisahan Kluster Ketenagakerjaan
- Kompas — DPR Kebut Penyusunan RUU Ketenagakerjaan, Draf Ditargetkan Rampung Awal Oktober
- Suara.com — Batas Waktu dari MK Mepet, DPR Kebut RUU Ketenagakerjaan Baru
- Suara.com — DPR Kebanjiran Masukan dari Buruh, RUU Ketenagakerjaan Mulai Dikebut
- detikFinance — Pengusaha-Buruh Bentuk Tim Bahas RUU Ketenagakerjaan Baru
- Investortrust.id — Pengusaha dan Buruh Capai Kesepakatan 70% RUU Ketenagakerjaan, Cadangan Pesangon Jadi Sorotan
- Liputan6 — Draf RUU Ketenagakerjaan Mengecewakan, Serikat Buruh Temui Menaker (2 September 2026; Andi Gani Nena Wea quote)
- ANTARA News — Menaker: RUU Pelindungan Ketenagakerjaan ditargetkan tuntas Oktober (6 September 2026)
- Penjuru.id — DPP KSPSI Instruksikan Apel Siaga Serentak Kawal RUU Pelindungan Ketenagakerjaan (08:39 WIB, 8 September; instruction letter No. 190/DPP/KSPSI/IX/2026)
- Tribun Jakarta — Massa Buruh Audiensi dengan DPRD DKI, Desak RUU Perlindungan Tenaga Kerja Diperjuangkan (10 September; 30-region action outcome)
- ANTARA News — Menaker pastikan progres RUU Ketenagakerjaan masih "on schedule" (2 September; draft received from DPR, Surpres/counterpart step next)
- ANTARA News — Pemerintah serahkan DIM RUU Pelindungan Ketenagakerjaan ke DPR (18:48 WIB, 14 September; Minister Yassierli to Commission IX Chair Felly Estelita Runtuwene)
- Gerindra.id — Putih Sari Pimpin Panja RUU Ketenagakerjaan, Dorong Regulasi Lindungi Pekerja dan Jaga Dunia Usaha (15 September; Panja chair confirmed)
- Monitor Indonesia — Draf RUU Pelindungan Ketenagakerjaan Pangkas Batas PKWT, Tak Lagi 5 Tahun (September; PKWT 2 years + two 1-year extensions, no probation)
- CNBC Indonesia — DIM RUU Pelindungan Ketenagakerjaan Diserahkan ke DPR, Ini Bocorannya (16:58 WIB, 14 September; informal and platform workers, wages, 40-hour week, Yassierli on outsourcing)
- ANTARA News — RUU Ketenagakerjaan muat bab khusus pekerja platform digital (19:11 WIB, 14 September; Putih Sari, 20 chapters/264 articles)
- FSP KEP SPSI — Buruh Bongkar Isi RUU Ketenagakerjaan: Dari Upah, Outsourcing hingga PHK (ten strategic issues, Jaminan Pesangon proposal)
- SeanteroNews — Masuki Pembicaraan Tingkat I, Pemerintah dan DPR Mulai Godok RUU Pelindungan Ketenagakerjaan (14:54 WIB, 15 September; 20 chapters/264 articles, Prolegnas 2025–2029)
- Lampu Merah News — RDPU KBPBI-Apindo dengan Komisi IX: 12 Putusan MK Wajib Masuk RUU Ketenagakerjaan
- Kompas — Susun RUU Ketenagakerjaan, Buruh dan Pengusaha Kompak Studi Banding ke 4 Negara
- ANTARA News — RUU Pelindungan Ketenagakerjaan disetujui jadi usul inisiatif DPR (27 August 2026 plenary)
- ANTARA News — Menaker: RUU Pelindungan Ketenagakerjaan ditargetkan tuntas Oktober (6 September 2026, Yassierli quote)
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